「マッチングで世界を変える」をミッションに、日本の産業構造の変革に挑んでいるリンカーズ。各産業に精通した産業コーディネーターによる「目利き」と、独自の高精度な探索システムの掛け合わせにより、これまで叶わなかったような企業と企業のマッチングを実現させている。そんな同社のビジネスに共感してジョインしたのが、プラットフォーム事業本部 本部長の國井宇雄氏だ。コンサルタントの立場では変えられなかった製造業の現場を、リンカーズなら産業構造から変革できると語る。具体的にどのようなことなのか。お話を伺った。
製造業の、変えたくても変えられない課題
――國井さんがリンカーズと出会うまでのキャリアを教えてください。
私のファーストキャリアは大手IT企業の日本IBMです。ITコンサルタントとして、主に製造業のお客様の課題を解決するために、お客様の工場を間借りして、システムの設計から開発、導入、運用まで手掛けていました。
このとき製造業の現場を見て痛感したのは、日本の製造業は歴史が長いが故に仕組みが古く、非効率で困っていることがたくさんあったことです。しかもそれらの課題は、IBMのパッケージを導入するだけでは解決するのに限界がありました。
そこで、システムだけでなく、経営や戦略から製造業の現場を変えられないかと考え、デロイト トーマツ コンサルティングに転職しました。
実際、経営コンサルタントとしてお客様の現場に行き、幅広くさまざまな課題に取り組めたのは良かったのですが、個社の課題を一つ一つ解決しても、製造業全体の課題解決につながりません。この現実に悶々とするようになったんです。
――具体的に、製造業のどんな課題を変えられなかったのでしょうか?
たとえば、現場では紙やFAXでのやり取りが当たり前にされています。それを「ペーパーレスにして効率化を図ろう」と言うのは簡単ですが、昔ながらの仕組みで現場が動いているために、影響範囲が社内外のどこまで及ぶのかが見えづらいんですね。
だから、変えたくても簡単には変えられなかった。単純に「ツールを導入すればいい」という話ではなく、組織や生産ラインのあり方、ビジネスモデルはもちろん、根本的な産業構造から変える必要があったのです。
業界全体を変える仕組みをどうにか作れないかと模索していたとき、出会ったのがリンカーズでした。 リンカーズはものづくり企業のさまざまな課題を、企業と企業のビジネスマッチングによって解決につなげる会社。具体的には、各産業に精通した産業コーディネーターと、独自の高精度な検索システムによって、今まで見つけられなかったパートナー企業などを探し出してつなげます。それによって、産業構造を再構築し、社会の生産性を最大化しようとしていました。
これはまさに、自分がやりたいと思っていたこと。ここまで同じ考えを持つ会社があるのかと驚き、2017年にジョインしました。
思いもよらなかった企業とマッチングできる
――たとえば、どのようなマッチングをしているのでしょうか?
マッチングした事例で多いのは、自分たちにはない加工技術を持つ会社とのマッチングによってビジネスが前に進んだ、新商品を作りたくても生産ラインに空きがなく作れなかったのが、他社の生産ラインを活用して作れるようになったといった事例。
ほかにも、専門知識が必要な新規事業を立ち上げるとき、その知識を持つ大学教授とマッチングした結果、研究開発が進んだというケースもたくさんあります。
私が携わったなかで印象的だったのは、大手建機メーカーの小松製作所の事例です。コマツは、グローバルで展開している建設機械の稼働をIoTで可視化し、生産性の向上や最適化を実現していました。
ただ、水中の建機の稼働を可視化するのは難しく、水中の地形を地上と同じようにデータ化できる会社はないかと相談をいただいたんですね。
そこで、リンカーズ独自の仕組みで日本全国から候補企業を挙げ、最終的にラジコンやセンサーなどを作っている地方の中小企業とマッチングしました。
――ラジコンを作っている中小企業。
ボートのラジコンにセンサーをつけて水上を走らせて、水中の地形をデジタル化することができたんです。結果、水中にある建機の稼働も可視化できるようになりました。こんな方法があったのかと喜んでいただけましたね。
ほかにも、日本の工場や開発の現場には、“ダイヤの原石”と言えるたくさんの技術や設備が眠っています。それは日本の大きな強みなのですが、自分たちだけではその原石を磨けないし、活用できないという事例がたくさんあります。
たとえば、ある大手化学メーカーから「使い道がなくなった大規模装置を活用してくれる会社を探して欲しい」という依頼がありました。かつては第一線で稼働していて、メーカーにとっては大切な資産。でも、技術の進化によって最新設備に置き換えた現在は、使い道がない、と。
結果的に、活用できる会社とのマッチングは実現しなかったのですが、日本全国の候補先からのNG理由をレポートにまとめたところ、その情報が次の戦略を考えるヒントになったんです。
――リンカーズを介さなければ、活用できない理由すらわからなかったのですね。
そうです。**自分たちだけでは、持っている資産を使ってくれる人はいるのか、いるならそれは誰なのかがわからなかったけれど、NG理由を知って一歩前進できました。**こういったニーズは日本全国の工場にあると思うので、リンカーズの介在価値は高いと思っています。
リンカーズを介して誕生した「だんぼっち」
――リンカーズに入社した2017年以降、製造業に変化の兆しは見えてきましたか?
かなり変化していると思います。今までの製造業は、何でも自前でどうにかするという文化が根強くありました。
でも今は、大手を中心にオープンイノベーションに取り組む企業が増えていて、自分たちだけで開発するよりも外部と協業した方が効率的だという意識に変わったのが、とても大きな変化だと思います。
――リンカーズで働くことで得られるやりがいは何でしょうか?
リンカーズを介してダイヤの原石と磨き手がマッチングし、ビジネスを一歩前進させられること。新しいサービスや事業、価値が生まれる瞬間に立ち会えるのは大きなやりがいだと思います。たとえば、ダンボール製の簡易防音室「だんぼっち」が世に出たのは、リンカーズを介したからなんですね。ある企業が、ニーズのあった「安くて丈夫な個人用の防音室」を企画したものの、実際に製造できる会社を1年間探したけれど見つけられなかったそうなんです。
でもリンカーズに相談したら、1週間でダンボール製品の開発・製造販売をしている福島県の神田産業を見つけられました。
――1年探して見つからなかったのに、リンカーズを介すと1週間で見つかった。
ダンボールの個人用防音室を作ったことのある企業は存在しなかったので、普通に探していたら見つけられません。
でもリンカーズは「ダンボールの防音性と耐久性を担保できる、この加工技術を持つ会社」といった具合に、必要な技術まで落とし込んで、産業コーディネーターと独自のシステムで候補企業を探します。
神田産業もダンボールの防音室を作ったことはなかったけれど、そのために必要な加工技術を持っていたので、マッチングが成立しました。
マッチング後は半年で「だんぼっち」の販売につなげることができ、当時からヒット商品となった上に、コロナ禍のリモートワークでも注目されています。
「変えられなかった」を「変える」
――どんな人がリンカーズには合うでしょうか?
これまで比較的多かったのは、メーカーや銀行、コンサルティングファーム出身の人です。共通しているのは、「変えたいのに変えられなかった」原体験を持っていること。課題を解決するには、リンカーズの新しいマッチングの仕組みが必要だと共感してくれました。
――メーカーや銀行の中にいては解決できないことも、外に出ると第三者として改革ができる。
そうです。最近は社員のバックグランドも多様になっていて、**これまでのさまざまな経験から「日本が勿体ない」と実感し、それを解決したい人が増えています。**事業は次々と生まれているので、勿体無い日本の現状を変えたいと思う人は活躍の場がたくさんありますよ。
また、リンカーズには世界中どのデータベースにもない貴重なデータが蓄積されているから、そのデータを活用して新しいプロダクトを生み出すことに興味があるエンジニアもワクワクするでしょう。
業界の最先端ニーズを汲み取りながら、先手を打ったサービスづくりや事業づくりができますし、日本に眠るたくさんのダイヤの原石と、業界を横断してそれを磨ける人、そして磨かれたダイヤを使う人による新しい産業構造を作れたら、日本はもっと強くなると思っています。
リンカーズは長年変えられなかった産業構造の仕組みを変革できる唯一無二の会社だと思っているので、興味を持った方とはぜひお話ができたら嬉しいです。