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「日程調整」から始めた理由【Spirは何を実現しようとしているのか①】後編

社長メッセージ・役員コラム
- ビジョン・ストーリー
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戦略的なタイムマネジメントができるビジネスカレンダー

こんにちは、Spir(スピア)の大山です。

Spirは、「相手も、自分も、思いどおりの調整を。」をキャッチコピーに、予定管理から日程調整まで、シンプルかつ戦略的なタイムマネジメントができるビジネスカレンダーです。

2020年11月にβ版をリリースして以来、登録者数が2万5000人を超え、順調に拡大しています。


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前編はこちらから。


ビジネスパーソンのデータベースとは

この人材データベースについてもう少し具体的に説明しましょう。人材データベースの中で、従業員データと照らし合わせて、自社と相性の良い人材をプールします。その人材が転職しそうになったらアラートが飛んできて、採用に結びつけることが簡単にできるようになる。人事にとっては、ハイパフォーマンスな人材を効率的に採用でき、その効果をフィードバックすることで、費用対効果も明確にわかります

これならいける! そう考えて開発を検討し始めますが、すぐにボトルネックがあることに気づきました。SNS上でのビジネスパーソンの動きをトレースできなくなったのです。

ちょうどSNS上で得た個人情報を他社に許可なく提供できないという規制がスタートして、Facebookでは友達リストの連携サービスが終了した頃でした。Facebookより規制がゆるいものにはTwitterがありますが、少なくとも当時はビジネスパーソン向けのSNSとはいえませんでした。

日本には名刺交換サービスのSansanもありますが、Sansanのデータは社内向けのクローズドです。つまり、誰がどんな人とつながり、どういう活動をしているかをトラックできる、元となるデータベースにアクセスができませんでした。

社外と簡単につながるチャットツールの可能性

ビジネスアイデアが行き詰まったかのように見えましたが、それが逆にピボットとなりました。ビジネスパーソンのオープンなデータベースがないのであれば、それをつくればいいじゃないか、と。

ビジネスパーソンのSNSを分析していくと、日本ではFacebook Messengerをビジネス用に使うケースが目立ちます。しかし、日本の使い方は世界では特殊ケースなので、FacebookがグローバルでMessengerをビジネス最適化することはなさそう。世界的なビジネスパーソンのSNSツールというとLinkedInですが、日本では普及にまだ時間がかかりそうです。

つまり、ビジネスパーソンのオープンなSNSデータベースは日本には存在していない。ここに、チャンスがある。では、どんなプロダクトをつくればいいのか。そう考えたときに浮かんだのは、Slackのようなチャットツールでした。

SlackやChatWorkなどのチャットツールは、まだ社内向けの位置づけが主流ですが、社外とも自由にチャットができるツールのニーズは確実にあります。今、日本でそれを担うのがFacebook Messengerですが、よりビジネス仕様に最適化したツールを開発すればFacebook Messengerをリプレイスできるはずだ、と。

チャットで面倒なのが日程調整だった

ただし、チャットツールの普及には、相手も使っていることが重要なポイントです。新しいチャットツールを開発して利用してもらうには、“乗り換えるきっかけ”が必要でした。乗り換えてもらうには、もっと簡単で便利、これまで面倒だったことを解決してくれるような何かが要るということ。

じゃあ、僕自身がチャットツールで面倒に感じていることは何だろうと考えて、行き着いたのが「日程調整」でした。みなさん、日程調整をするときは、メールやチャットツールとカレンダーを見比べて、日時をテキスト入力するという手間をかけているはずです。これって、ものすごくアナログで面倒な作業ですよね。

画像3者でzoomでの打ち合わせの日程調整するだけで、こんなにも複雑なステップに

この日程調整をもっと簡単にできるサービスを展開する。それをフックにして、チャットツールに乗り換えてもらおうと考えたのです。

こうして今のSpirのビジネスアイデアの原型が決まったのは、ニューズピックスを辞めてからすでに4カ月が過ぎていました。

カレンダーだけでデータベースは作れる

早速、日程調整カレンダーの開発に着手するうちに、「チャットツールがなくても、カレンダーだけでデータベースになるのでは?」と考えるようになります。

カレンダーには、いつ誰と会うという情報が含まれていて、人の動きをデータとして蓄積できます。そう考えると、あえて新しいチャットツールをつくるより、日程調整の機能を最大限便利にしてシェアを拡大するほうが先決だと考えました。

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そこでまずは、プロダクトを日程調整に特化。シンプルだけれどもカレンダー上で日程調整が完結できるものを目指して開発を進めることになったのです。

ただ、日程調整ツールをつくることが最終目標ではないのは、最初から明確です。プロダクトを最もよいものに成長させシェアを拡大する。その後、ベストなタイミングでチャットやプロフィールの機能を追加すればいいと今は考えています。

コロナ禍が転機。アプリからPCファーストに

紆余曲折を経て開発したα版が、2019年12月にようやくリリース。しかし、その直後にコロナ禍に突入してしまいます。外出先で移動時間に日程調整ができるようにアプリ開発も着手していましたが、外に出かけて人に会うこと自体が無くなってしまいましたため、アプリ開発を中止しました。

そこでzoomなどのオンライン会議ツールとの連携を急ピッチで進めると同時に、PCでの操作性アップに注力。これまでになかった新しい日程調整ツール「Spir」として2020年11月にβ版のサービスをスタートしたのです。

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今は日程調整ツールを提供しているSpirが、実は、「その先」を見据えているということを知っていただけたのではないでしょうか。

次回は、社名「Spir」に込めた思いについてお伝えしたいと思います。

画像大山 晋輔 Founder CEO 東京大学経済学部卒業。戦略コンサルティングファームのコーポレイトディレクション(CDI)の東京・上海オフィスでの勤務を経て、2014年に株式会社ユーザベースに入社。ユーザベースではSPEEDA事業の事業開発・プロダクト開発の責任者、営業部門を経て、2017年にNewsPicks USAのCOOに就任し米国事業の立ち上げ責任者として事業戦略策定やプロダクトマネジメント、マーケティング等に従事。2019年に株式会社Spirを設立。

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