Text by 境はづき , Director of Corporate Strategy
例えば夏休み前の小学校の教室で、「今年の夏はセカンドホームで過ごすんだ」という会話がされていたら、少しびっくりしてしまうと思います。
もっと多くの人が、気軽に自然との接点を持てるように。我々SANUはまず、日本の”セカンドホーム”の概念を変えたいと思っています。
セカンドホームを”一部の人の贅沢なもの”から”気軽に持てる自然との結節点”へ
まず最初にお伝えしたいのは、SANUはセカンドホーム屋さんではないということです。私たちがやっているのは「Live with nature. / 自然と共に生きる。」という新しいライフスタイルの提案であり、その手段として、みんなが自然の中にセカンドホームを持つことをおすすめしています。
私にとってそれは、「夏休みのたびに通った田舎のおばあちゃんち」。都市化と核家族化の進行で、「田舎のおばあちゃんち」を持つ世代がどんどん減っている中で、美しい自然の中で思いっきり遊び、くつろぎ、生活をする場を作っていきたいのです。
日本にある現在の”セカンドホーム”、いわゆる別荘を所有するには、豪華な別荘でなくともそれなりの初期投資が必要ですし、リノベーション代、固定資産税、水道光熱費、通信代、管理費、といった維持費は毎年発生します。
一方、実は別荘を所有している人の年間の平均利用日数はわずか30日と言われています。つまり、330日は利用されずにむしろ老朽化が進み、ますます管理費がかかっているのです。人が使わない建物は適切な維持管理がなされず老朽化が進み、素敵だったはずの自然の風景をどこか淋しいものに変えてしまう・・・。
そんな負の連鎖により、「別荘は一部のお金持ちが持つ、自分には関係のないもの」というイメージが定着してしまっているのが実情です。
しかし、日本の別荘保有率がたった0.7%なのに対し、実はアメリカでは6%、スウェーデンでは14%もの人が「サマーハウス」と言われるセカンドホームを持っています。(スウェーデンにおいて、自分で持っていなくてもサマーハウスで夏を過ごす人はなんと人口の約半数!)
海外のサマーハウスは日本のような豪華なものではなく、簡素な小屋のような場合も多い。あくまで「定期的に都市の生活から離れ、健やかさを取り戻すための場所」なのです。
確かに別荘を所有することがステータスだった時代もあるかもしれませんが、その本質は自然の中に繰り返し通う拠点をもつこと。年間30日しか使わないなら、所有という概念を一旦離れたっていい。
みんなでセカンドホームをシェアすることで、莫大な初期費用も、面倒な契約も、水道光熱費も通信の引き込み工事も管理費もかからず、しっかりと管理され掃除されたセカンドホームを月額5.5万円で気軽に利用できるなら、少し気軽さが変わってくる気がしませんか?
自然回帰という大きな流れの中で
2020年の国土交通省の調査では、都内上場企業の約7割はテレワークを維持または拡大の方針と発表しています。実際に働き方の自由度が増して、「この生活が続くなら、会社へのアクセスがいい都内の家に籠る必要もないな」と考え始めた人も多いのではないでしょうか。
実際、トラストバンクの調査「地方暮らしに関するアンケート」によると、リモートワークの拡大に伴って日本人の50%近くが地方暮らしへの関心を高めており、かつその7割は「完全な移住ではなく都市生活を維持しながらの地方暮らし」を望んでいるといいます。
実際、国連が発表する「世界都市人口予測・2018年改訂版」でも<1950年で30%に過ぎなかった都市人口は、2018年には55%、2050年には68%に達する>などと世界規模で都市の過密化へのアラートが上がっており、都内に住むミレニアル世代を中心に約8割が「自然との接点を増やしたい」と回答するなど、時代の流れは確実に自然回帰の方向に向かっています。
本当はみんな自然との接点を増やしたいけど、どうしたらいいのかわからない。別荘は高いしいろいろと面倒。キャンプやリゾートホテルは生活を送る場としてはちょっと違うかも。その解決策として、私たちはSANU 2nd Homeをもっともっと広げていきます。
SANU 2nd Homeは、2022年夏には7拠点50棟、2024年には20拠点200棟と拡大し、それに伴って会員として自然に気軽にアクセスできる人の数もどんどん増えていきます。今、日本で別荘を保有する20〜40代はたった11,000世帯と言われていますが、これがSANU 2nd Homeの拡大によって2028年にはなんと2.5倍以上になる(友人や家族を通じてアクセスできる人の数はもっともっと多い)未来がすでに見えています。
私たちは、日本中、世界中の豊かな自然の中にSANU 2nd Homeができる未来を描いています。あの特徴的なSANU CABINの窓の外に、今度はどんな景色が広がっているのか。私たちも日々ワクワクしながら2nd Homeの開発を進めています。
日々の生活のベースは都市に置きながら、Sanu 2nd Homeを通じて自然へのアクセスを持ち、Sanuがあることで初めて出会う土地や人々がいて、繰り返し通ううちにその地域を好きになる。
「この間新緑の季節に行った山中湖は良かったよね、今度はどの季節に行ってみようかな?」
「あっ、八ヶ岳に新しいパン屋さんができてる。明日の朝食用に買ってみよう!」
例えば、明日から夏休みに入るという小学校の教室で、
「今年の夏はSanu 2nd Homeで過ごすんだ」という会話が、まるで田舎のおばあちゃんの家に遊びに行くような感覚で受け止められるようになったら。きっと、SANUが提案する新しいライフスタイルが多くの人に広がっていることでしょう。