【グループでのスタートアップエコシステムへの包括的支援を目指す】スタートアップ投資管理SaaS「FUNDBOARD」を「KEPPLE CRM」へブランド変更
Q. FUNDBOARDをリリースした目的は?
FUNDBOARDは、2018年8月にVCやCVCなど投資家向けに、投資業務の効率化を図るツールとして立ち上げました。それまで投資家たちは、投資先からの資料集め、データ入力、決算作業などを全て人力で対応していました。ファンドは1号を立ち上げると、2号、3号と、2~3年おきに増えていきます。それに合わせて対応人員を増やすことは、実際には難しく、うまく効率化させながらファンドを増やしていく必要があります。
私も会計事務所時代にファンド決算を請け負った経験があり、とても苦労しました。その運営の大変さを目の当たりにしたのが着想のきっかけです。ソフトウェアで効率化させたいというニーズが高まってくると考え、FUNDBOARDをスタートさせました。
Q. FUNDBOARDを通じてスタートアップエコシステムにどのような価値をもたらしてきたと考えていますか?
SaaSを活用して投資活動、ファンド運営をするいう文化を根付かせることができたというのが大きかったですね。投資先情報を集約し、データをチームで共有する。これはソフトウェア抜きでは実現できなかった部分です。FUNDBOARDを利用することで、ファンド運営の効率化につながる環境を作れたのは非常に大きな進歩でした。
昨年にはデータベースをスタートし、その連携により案件管理にむけた情報入力の工数が大幅に削減されました。これは他のSaaSやExcelでは実現できていない領域です。例えば「ケップル」と入力すると、役員情報、住所、過去の資金調達実績、ニュースなどがワンクリックで登録されます。これらにより投資案件管理の効率化が実現し、チームでの情報共有もスムーズに行えるようになったと評価いただいています。
Q. 新たに投資活動をはじめた皆さんには、どこが評価されていますか?
投資活動をはじめて間もない投資家は、投資案件管理の経験、ナレッジを有していないことも多いです。案件をどう管理するのが適切か?カスタマーサクセスチームは案件管理に関するナレッジを蓄積しています。そういったナレッジをベースとした活用事例の紹介は投資を開始されたばかりの顧客には非常に喜ばれていますね。
Q. ケップルにとって、FUNDBOARDはどんな価値を産み出しましたか?
VC、CVC、事業会社といったスタートアップ投資をされている皆さんと深い接点を持つことができたのが大きな価値だと言えます。これまでも広くお付き合いはありましたが、ファンド運営の詳細まで話す機会はなかなかありませんでした。ソフトウェアの提供を通じて、彼らが実際に抱えている悩みやうまくいってるポイントなど、さまざまな業務の話を聞くことができます。その結果、スタートアップ投資についての理解が深まり、投資家の皆さんが抱えるまた別の課題を解決していくような事業開発に活かせています。
Q. 名称変更の理由は?
ファーストプロダクトとしてFUNDBOARDをリリースして以来、投資家の課題を解決し、ビジネスゴールへいち早く導くことへの貢献を目指し、事業を広げてきました。具体的にはスタートアップデータベースや、ファンド決算、株価算定、スタートアップメディアなど、スタートアップや投資家の皆さんに向けたサービスラインナップがどんどん増えていきました。
ビジネス展開が広くなる中、FUNDBOARDというプロダクトのブランドイメージを超えるかたちで、組織全体でスタートアップエコシステムの発展に向けたあらゆるサービスを提供しているというブランドが「KEPPLE」という会社名に築かれつつあるように感じています。言い換えるならば、「KEPPLE」という組織自体がスタートアップを支援するプラットフォームであるというブランドイメージが色濃くなりはじめたタイミングだと考えています。このイメージをより明確に打ち出したいと思い、ケップルとしてブランドを統一していこうと考えたのが背景です。
マーケットの成熟度合いや変化に応じて、エコシステムに必要なサービスやソリューションは変わっていきます。我々もまた新たな課題に向き合って、新しいサービスを始めたり、逆にクローズさせたりすることがあるかもしれませんが、ケップルというブランドを掲げて、エコシステムへの貢献を続けていくという方針はこれからも変わりません。それをグループ全体で推進していきたいという気持ちを込めて、名称の変更を決めました。
Q. 名称変更でどのような効果を期待されていますか?
「KEPPLE」というグループでの認知度を上げていくことで、投資案件管理ツールだけでなく、「KEPPLE DB」、「KEPPLE FUND SUPPORT」、「KEPPLE(スタートアップメディア)」など、スタートアップエコシステムの皆さんを支援するサービスがケップルにはたくさん揃っているということをお伝えしていきたいですね。
ケップルのさまざまなサービスを使うことで、投資家、スタートアップの皆さんをより迅速に成功に導いていけると思っています。一つのサービスを使うという意識から、「KEPPLE CRM」を利用しているのであれば、「KEPPLE DB」も使ってさらにソーシングを加速させようとか、他のサービスと組み合わせて投資活動を推進していこうと思っていただければ嬉しいです。我々も各サービスの連携を深め、包括的に質の高いサービスを提供していきます。
Q. 「KEPPLE CRM」などのサービスをどう発展させていきたいと考えていますか?
多岐に渡る事業を展開しており、これからはそれらを有機的につなげていこうと考えています。「KEPPLE DB」は多くの事業会社で導入いただいており、「KEPPLE CRM」はVCをはじめとした投資家の方々に使っていただいています。スタートアップメディア「KEPPLE」ではたくさんのスタートアップと接点を持っています。それぞれのサービスをご利用いただくユーザーをつなげていき、ケップルとしてより高い付加価値を出していきたいですね。
Q. 今後の展望についてお聞かせください。
我々は「Create New Industries 世界に新たな産業を」というミッションを掲げ、社会のさまざまな課題を解決する新しい産業を創り出し、人々の生活をより幸せにしていきたいと考えています。そのような社会を実現するためには、社会にイノベーションを起こしていくスタートアップという存在が必要不可欠です。これまで以上に日本のスタートアップエコシステムを前進させることに貢献していきたいです。
また、日本は少子高齢化の影響もあり、成長市場とは言いにくい状況です。インドやアフリカといった人口が増え続けるマーケットに対して、ビジネスという観点からいかに日本がつながっていけるか?その成長マーケットとWin-Winとなるかたちで事業展開できるかが今後の日本にとって重要になってきます。
日本のスタートアップエコシステムを前進させることと併せて、日本と世界をつなげていく役割を担っていきたいです。すでにアフリカでKepple Africa VenturesというVCを運営していますが、これにとどまらない仕掛けをこれからアフリカを軸に進めていきたいですね。