クリエイターにとって最も切実なのは「収入基盤の不足」
前回、クリエイターエコノミーにまつわる4つの課題についての記事を書きました。
今回は、そうした課題に対して当社がどのようなアプローチをとっているのかをご紹介したいと思います。まず、前回解説した4つの課題をおさらいすると、
「収入基盤の不足」
「マーケット感覚・ビジネスリテラシーの不足」
「バックオフィスサポートの不足」
「メンタルヘルスの不安定性」
になります。さて、この中で課題の優先順位をつけるとするなら、最も優先度が高いのは間違いなく「収入基盤の不足」であると言えるでしょう。
その他3つは、そもそも土台としてクリエイターが稼げるステージがあるか否かがあった上で、派生議論として上がってくるものです。ですから、まずは何よりも、「クリエイターが安定して稼げる場」というものを盤石にしていかなければなりません。
「企業案件からの収益」が鍵
下記の図をご覧ください。
これはCB Insightsによるデータで、クリエイターの収入源の割合をカテゴリ別に示したものです。左箇所をご覧いただきたいのですが、8割近くのクリエイターが「企業案件からの収益(Brand deals)」によって自身の生計を立てているという事実が見て取れると思います。
これは同時に、自身のブランドを持ったり、アドセンスなどプラットフォームからのインセンティブを得たりできているのは、ほんの一部のクリエイターであることも示しています。つまり、クリエイターにとって「企業案件を得ること」は、目下最重要の生き残り戦略となるのです。
当社のアプローチ
このような現実に対して、当社は「日本においてクリエイターの企業案件からの収益を最大化する」というアプローチをとることで、クリエイターエコノミーを推進しようと目論んでいます。わかりやすい言葉で表現するなら「インフルエンサーマーケティング」事業を営んでいます。
また、ただインフルエンサーマーケティング事業を行うのではなく、産業・業界といった単位でサステナブルにクリエイターが稼げる状態を作り上げるために、「クリエイターと企業が協業してマーケティング活動を行う地盤を作る」ことを念頭にいくつかのポイントを事業に持っています。
1.安定発注・進行・納品できるオペレーションを磨き続け、型化する
1つ目は、「安定発注・進行・納品できるオペレーションを磨き続け、型化する」です。まず業界の話をしたいのですが、実はインフルエンサーマーケティングという手法は生まれて間もないため、正直に言って業界の治安はまだまだよろしくない状況です。
・低リテラシーなプランニングで成果が全く出ない
・杜撰なディレクションで案件が炎上する
・自社所属クリエイターを押し売り非顧客最適なキャスティングとなる
・クリエイターの人権を蔑ろにした不誠実な契約や営業が横行している(下記動画も参照)
といった事案が蔓延っているため、企業もクリエイターも「インフルエンサーマーケティング」というものを敬遠してしまっているケースがいまだに多いのです。
また、「クリエイター」というビジネス経験が豊富ではない方々をディレクションしていくことは未だ属人性が高く、ビジネスとしてスケーラブルでない現状があります。これでは、「クリエイターの企業案件からの収益を最大化する」というミッションは実現できません。
そこで当社は、この状態を払拭するために下記のアプローチをとっています。
・マーケを俯瞰できる専門的なプランナーを採用/業務委託契約し提案を行う
・独自の指標を設け計測、学習することでデータドリブンな成果創出を実現している
・着実なオリエンテーションをクライアント企業/クリエイター双方に対して綿密に実施し、ゴールや要件の解像度を限界まで引き上げる
・非事務所型のクリエイターネットワークを形成し、フラットな立場でキャスティングする
・可否どりのプロセスや合意形成、コミュニケーションのTipsを継続改善し型化する
・独自のシステムを開発し進行プロセスの効率性/正確性を向上する
上記のような地道な努力を重ね、業界をクリーンにし、ビジネスプロセスをスケーラブルなものにしていこうと奮闘しています。
I-ne×Nateeに聞く、Z世代インサイトの最前線とTikTokプロモーションを使ったブランド戦略(記事リンク)
こうした取り組みによって「インフルエンサーマーケティング」をVer.2.0へアップデートし、企業もクリエイターも積極的に協業してマーケティング活動を行う未来を実現しようとしています。
2.成長プラットフォームで実績とポジショニングを形成していく
また、ビジネスを通じて課題を解決していくにあたって、存在感や収益性は必須です。社会はトラスト(信頼)で出来上がっており、成長企業であるという事実や認知はビジネス活動の効率性を引き上げます。
逆にいうと、そうしたソロバン的な側面を蔑ろにしていては、ロマンを追うことは許されません。この前提がある中で、当社は市場選定にかなりこだわりました。クリエイターと企業をつなぐプラットフォームとしてどこを重点的に攻めるか、とてもこだわり抜いて選びました。
選んだのはTikTokというショートムービープラットフォームです。TikTokは現在間違いなくグローバルNo.1のプラットフォームです。
このTikTokを、クリエイターと企業を結ぶ第一の居城と位置づけ、当社は「TikTokでNo.1」のポジションを取ることで収益と実績を積んできました。
成長スピードは売上ベースで
1期→2期で1,778%
2期→3期で388%
3期→4期で242%(着地見込)
を記録しており、このファクトは資本市場や財市場、採用市場においてビジネスの効率性を大いに引き上げることにつながっていることを実感しています。
まとめると、「日本においてクリエイターの企業案件からの収益を最大化する」というロマンを最速で実現するため、収益性や成長性というソロバンにもこだわり抜いてビジネスを行なっているということです。
「スクールプロジェクト」について
また、「スクールプロジェクト」というクリエイターの卵を企業案件で稼げるクリエイターに育てる取り組みもテストローンチしています。クリエイターの中には、企業案件を受けるとはそもそもどういうことか、全くイメージがつかないという方も多く存在するため、そうした方たちが企業案件により簡単にアクセスできるようになるための育成の場、という位置づけです。
こちらは「マーケット感覚・ビジネスリテラシーの不足」の課題を解決する取り組みとも言えるでしょう。
このように、「選択と集中」「探索と拡張」をタイミングを見計らって行うことで、クリエイターにまつわる課題を解決する「インフラ」のような企業になることが、当社の現在目指しているところです。
終わりに
ここまで、「クリエイターエコノミー」にまつわる課題を当社がどのようなアプローチで解決しているかをご紹介してきました。
しかし、「クリエイターエコノミー」は当社が掲げている全社的なミッションを実現する上であくまで手段の1つです。私たちは、もっと多くの角度から「人生というものを一次元引き上げる」ことに対してアプローチをしています。